檀上都詩美

主婦・母

by TOSHIMI DANJYO

檀上家 / 三世代の食卓

時代の移り変わりや家族の
状況の変化を受け入れながらも、
家族にとって最善の「食」を
日々更新し続けてきた。
実母、夫、娘、息子、孫、世代を
跨いでつづく食のカタチを。

食環境の変化や、女性の社会進出。
様々な要因によって、家族の食は変わりつつあり、
「家庭料理」の概念も揺らいでいます。
時短料理、市販されている人工調味料や
だしを使って味をつくるカンタン料理が定番になり
画一化した味が手放せなくなくなっています。
さらに添加物の多いレトルト食品にも頼ることが
多くなっています。

檀上さんは、実母の介護や子供の成長、夫の
仕事の変化がある中で、家族一人ひとりの健康や
メンタルの状態を汲み取りながら、その年
その季節の最良の野菜や食材を手に入れ食事作り
をしてきました。食材の状態を五感で察知し、
自然発酵乳酸菌のはたらきによる素材の活かし方、
引き出し方をみつけます。家族にとって最善の
料理のインスピレーションが生まれてきます。
休日は、フルタイムで働く次女のケイコさんと
お孫さん家族を檀上家に呼び、食事を共にすると
いいます。先日取材にお伺いしました。

三世代が食事する至福の時間を
写真に記録することができた。

三歳のお孫さんは、はじめての私たちの取材に
対して緊張を募らせていましたが、檀上さんの
手作りごはんを食べると表情がやわらぎ、
”ばあば”への信頼と愛が写っていました。

檀上家のけんちん汁

ごぼう、れんこん、大根、しいたけ、きのこ…
根菜を乳酸菌で醸すと、あまみが増します。
味付けは、ほんの少しのお醤油だけ。
孫のチハルちゃんも大好きな優しい味。

ウエダ家に興味を持った
きっかけは、長女のトモコさんが
COBO講座で習ってきた
たまねぎCOBOポタージュの味。

当時、同居して病気療養していたお母さんが
喜んで食べてくれました。
檀上さん自身も経験したことのない味で、
なんとも癒される美味しさを感じたとのこと。
自分でも作りたいけど、たまねぎで菌を
育てるのは難しかった。自然発酵乳酸菌の
パウダーや醸しベジがあれば(当時は発売前)、
もっと早く作り方を知って、今は亡きお母様に
食べてもらいたかったと。
これから自分が年を重ねて食べられなくなる
時が来たら、このポタージュが
命を助けてくれると思うと言います。

家族全員の「おいしい笑顔」が
生まれた味が、檀上家の味です。

家族の「おいしい笑顔」が見たくて日々作り
続けています。市販の味に頼ることなく、
自分の作りたい味と、家族一人ひとりの
体調が合った時に良いものが生まれる。
「毎日同じものが作れなくても、毎日おいしい味
を作りたい」というのが檀上さんのモットーだ。

自然発酵乳酸菌や醸しシーズニングを料理に
使ってわかったことは、素材の味が
引き出されることです。
塩麹をはじめ市販の調味料や出汁は味を足して
作るので、間違いはないけれど、どれも同じ味に
なってしまい、料理の腕が上達しません。既存の
調味料に何か物足りなさを感じてしまいます。

乳酸菌には、食べた後に感じる香りや
すっきりとした余韻があります。
乳酸菌だけでは、なかなか料理への使い方を
マスターできませんでしたが、
醸しシーズニングが生まれたことで料理が
シンプルになり、広がりがうまれたと言います。

ITの時代になり、家族一人ひとりが様々な
欲望をそそる情報に囲まれ、家族という絆が
希薄になりつつある昨今、家族を幸せにつなぐ
食事の時間がクローズアップされています。
食に関わる情報も溢れる中、五感を使って
家族の状態を受け止め、素材を見極め、
試行錯誤して作る毎日のごはん。
女性が忙しい今、夫や子どもたち、孫、
家族全員で積み重ねていくことが、
あたらしい「家庭料理」の概念を作ります。